気になる再婚後の養育費①~妻の再婚~
事情変更の原則
契約一般について、契約時に予想できなかった社会事情の変化があり、それが当事者に責任を負わせることができない原因によって生じ、しかもそれが重大であるときは、契約を守らせることは公平に反することになります。
このような場合には、将来に向けて契約の解除または契約内容の変更の請求をすることが認められています。
これが民法で定められている事情変更の原則です。
民法第880条
扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。
養育費についても、この事情変更の原則が認められます。
後の事情の変化により、取り決めた養育費額が妥当な金額でなくなった場合には、減額あるいは増額を請求することができます。
養育費の減額や増額が認められる事情とは、物価の高騰や父母の再婚、再婚に伴う養子縁組、父母の病気、就職、失職、収入の大幅な増減などがあります。
上記に挙げたような事情変更がある場合には、当事者同士で話し合いをして、養育費額を修正することができます。
話し合いができないときには、家庭裁判所に養育費の調停として申し立てることができます。
養育費をもらっていた側が再婚をした場合
離婚をして、子供を引き取って育てていた元妻が再婚をした場合、元夫は養育費を支払い続けなければならないのでしょうか?
元妻が再婚した場合でも、元夫には養育費の支払義務があります。
親であることに変わりはなく、子どもの扶養義務が消滅するわけではありません。
ですが、子どもが元妻の再婚相手と養子縁組をしたときには、養育費の支払義務がなくなる、または減額が認められることもあります。
♦子どもが元妻の再婚相手と養子縁組をしない場合♦
養育費に影響はありません。
元妻の再婚相手は子どもの父親ではなく、扶養義務がないからです。
♦子どもが元妻の再婚相手と養子縁組をした場合♦
この場合には、子どもと養父との間に親子関係が生じるので、養父が第1次的な扶養義務を負うことになります。
養父に経済力があるときには、元夫は養育費の減額または免除を請求することができます。
一方、養父に子どもを養う経済力がない場合は、元夫は養育費を支払い続けることになります。